広大地判定を行う場合には、対象となる土地の状況に応じて事前の準備が必要となります。
当然土地を評価するには・・・・
評価時点の確定や広大地の位置、範囲、面積などの物的な特定が必要です。
また広大地の現況の利用状態や所有関係、だれが相続するのか?単独で相続するのか共有か?未だ遺産分割協議の途中である!などなど色々なケースが想定されます。
適正は広大地判定を行うためには・・・これらの「基本的事項」をしっかりと確定させる事が重要となります。
広大地判定における面積要件の重要性
評価対象地が広大地として認められるには以下の3要件を満たす必要があります。
- 1標準的画地に比して著しく地積が過大であること(500㎡ないし1,000㎡以上)
- 2戸建分譲素地が最有効使用であること
- 3戸建分譲素地として開発する場合に、開発道路等の公共公益施設の負担を要すること
ここで 要件1 についてですが・・・・・
評価対象地の面積が500㎡ないし1,00㎡以上必要であることはご承知のことかと思います。
では開発許可面積が500㎡の地域において評価対象地の実測面積が499㎡しか無い場合、面積要件以外の適用要件を満たしていても広大地として認められないのか?どうなんでしょうか?
答えは・・・・
1㎡足りないだけでも・・・そもそも「広大地に該当しない」ことになります。残念ながら・・・
では評価対象地の登記面積が499㎡である場合でも広大地の適用を諦めなければならないのでしょうか???
答えはNOです。
なぜなら登記面積が正確とは限らないからです。
このような場合には土地家屋調査士の先生等に実測してもらうことを強くお勧めします。
また公図についても同じです。
土地の面積は現況の面積と法務局に登記されている登記面積と違うことが多々あります。
評価対象地について実測、確定測量を行っていない場合、明治時代!!!の地租改正時に測量した面積で登記されている確率がとても高いのです。
実際には500㎡以上の土地であるにもかかわらず、上記の理由から広大地の適用を諦めるのは・・・・
なんとも残念なことです。
このため広大地判定に当たっては「面積の確定」は非常に重要な作業といえます。
そもそも公図とは?法務局にある土地図面の種類について
公図が必要な場合には土地の所在地を管轄する法務局に行って取得するのが一般的です。
法務局には、土地の区画をハッキリさせる資料として地図(公図ではない!)が備え付けられることになっています。
これを法14条地図と言います!
この地図が完成するまでの間、暫定的に備え付けられている図面が公図!と言うことになります。
当然精度は地図(法14条地図)の方が公図よりも高いです。
① 法14条地図とは?・・・・
不動産登記法第14条第1項の規定によって登記所に備え付けることとされている地図で,精度の高い調査・測量の成果に基づいて作成されたものです。登記所に備え付けてある地図の中では,最も精度が高い地図ですが,備え付けが完了していない地域が多くあります。
② 公図とは?・・・・
法14条地図が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」として地図に代わって備え付けられている図面で、土地の大まかな位置や形状を表すものです。公図の多くは、明治時代の地租改正に伴い作成されたもので、現況と大きく異なる場合があります。
上記のほか法務局には地積測量図が備え付けてある場合もあります。
地積測量図は、すべての土地について備え付けられているものではありません。
③ 地積測量図とは?・・・
土地の分筆登記などの際に提出される図面で,土地の形状,地番,地積及びその求積の方法を明らかにするとともに,方位,境界標,隣接の地番等を表示して,土地を特定することを目的とする図面です。
ただし、地積測量図の提出後に合筆等がされている場合には、現状に合致していないものもあります。
すなわち評価対象地について「地積測量図」が無い場合、明治時代という大昔に実施された地租改正の際に測量した面積が登記されている可能性があります。また昭和の時代でも測量機器や技術の精度は現代には遠く及ばず、測量を行う人や土地の高低差によっても面積等の誤差が生じているのが現状なのです!
登記面積と公図の精度に疑問がある以上、登記面積が500㎡ないし1,000㎡を若干下回っているため要件①を満たさず広大地適用を諦めるような事があってはならない!
財産評価における面積についての国税庁の見解
相続税の申告時に用いる面積について課税庁は・・・・
財産評価基本通達8にて「実際の面積」を採用するように要請しています。
では広大地はすべて実測しなくてはならないのか???という疑問が生じますが・・・実測を要求しているのではありません。特に山林など実際の面積と登記面積、課税面積との差が著しいものについては・・・
- 1実地調査を実施(歩測、メジャー、レーザーによる測定など)
- 2平均的な縄延割合の適用等の方法による面積修正
- 3航空写真による測定
を行い実際の面積の把握に努めるよう要請してます。
公簿と実際の面積に著しく差異があり課税上弊害がある場合にはやはり実際の面積=実測に近い面積を確定する必要があるのです。
それでも、なお面積が確定できない土地については実測が必要な場合もあるでしょう・・・
でも、上記の三手法による実際の面積の把握をいざ実施しようとすると・・・・・・・・・
一般の相続人はもとより、税理士先生でも非常に難しいのです。
また具体的にその方法を実践してくれる税理士先生は「相続税のスペシャリスト」といっても差し支えありません!
なぜなら・・・・・
登記面積は499㎡であっても上記手法を適用した「実際の面積」は515㎡だった場合には広大地の適用の可否により、まさに天国と地獄なのですから・・・・
次回以降で
① 実地調査を実施(歩測、メジャー、レーザーによる測定など)
② 平均的な縄延割合の適用等の方法による面積修正
③ 航空写真による測定
の具体的な作業を紹介します!
土地評価の作業において現地で「歩測」「レーザーによる測定」「航空写真のよる検証」を欠かさない税理士先生は相続税のスペシャリストである!