地代改定と鑑定評価(その6)-自動増額特約があっても減額請求できる?
自動増額特約はどこまで有効なのか?
契約締結後、経済事情に変動があっても地代の「自動増額特約」が有効かを判断する基準は大きく以下の2つに分かれます。
- 1 「事情変更の原則」により減額請求の可否を判断するもの
- 2 「借地借家法11条」の趣旨から減額請求の可否を判断するもの
以下、検討してみましょう。
「事情変更の原則」による判断
こちらについては以前の頁を参考にして下さい。
地代改定と鑑定評価(その3)-地代の自動増額改定と事情変更の原則
すなわち4要件に該当するか否かにより減額請求の可否を判断する考え方です。
事情変更の原則からすれば・・・・かなり唐突な事情の変更がないと減額請求は認められないことになります・・・
それだけ4要件を充足する事情変更はなかなか認められないと思います。
「借地借家法11条」による判断
借地借家法第11条1項は・・・・・
- 一旦定められた地代について、その後の事情変動によって賃料が不相応となったと判断される場合には、当事者は賃料の増減額請求ができるとして、その判断事情について規定したものです。
従って、当時の地代が不相応になった場合には・・・・・
- もはや当事者は特約に拘束されない
すなわち減額請求が可能とする考え方です。
「借地借家法代11条」は当事者の予見可能性を要件としない点が「事情変更の原則」と決定的に異なります。
結 論
従って、たとえ自動増額特約があっても地代の減額請求は可能であり、重要なのは賃料が高すぎる、又は低すぎるなど、賃料水準と現行地代の乖離を証明することにあります。
このような場面で鑑定評価書は重要な役割を果たします。
地代改定は法的背景を踏まえた吟味が必要であり、継続地代の鑑定評価は評価主体の知識と理解により結果に大きな差が生じる。
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