地代改定と鑑定評価(その2)-賃料の自動改定特約について
賃料の自動改定特約とは?
賃料自動改定特約とは・・・・
- 地代を土地価格、公租公課、物価指数等を基準に自動改定する特約
です。
文字通りですが・・・
借地契約では、特に契約期間が長期になるため、その間、固定資産税などの税金や地価が変動したり、その他経済事情が変動したりすることにより、当初定めた賃料の額が不相当に低額もしくは高額になる場合が生じます。また、近傍類似の土地との間で賃料の額に大きな差が生じる場合があります。
このような事情変更が生じた場合には・・・・
- 借地借家法第11条及び借地法第12条
により契約当事者に賃料(地代)の増減額請求権を与えています!
しかしながら・・・・
賃料改定をお互い言いにくい場合もありますし、借地人が地代の増額にすんなり応じるケースは稀なので地代改定を巡るトラブルは後を絶ちません!
そこで!
両者のトラブルを防止し、地主からの賃料増額を容易にする趣旨で賃料を一定の基準で増額する旨の特約を結ぶケースが多く見られます。
これが賃料自動(増額)改定特約です!
賃料の自動改定特約の有効性
賃料の自動改定特約、とくに自動増額改定については・・・・・
かつては無効視する見解もありましたが・・・・
現在は、地代の定めに関して一般的な法規制はなく契約自由の原則に基づき当事者が決めるべきであり、それは将来の賃料についても同様、すなわち特約は有効であるとするのが主流です。
ただし、自動増額改定が有効であるためには・・・
- 合理的範囲内であれば!
という条件がつきます。
当然、借地借家法により賃借人(借地人)に著しく不利な特約は無効になるため、自動増額の程度が合理的範囲内であるかがカギとなります。
特約が有効である場合には?
自動増額の程度が合理的と判断されれば・・・・
■ 特約は有効となり借地借家法第11条等の賃料減額請求権は排除
されることになります!
特約が無効である場合には?
自動増額の程度が不合理的と判断されれば・・・・
■ 借地借家法第11条や事情変更の原則等により増額の特約に拘束されない又は無効
となり減額請求権の問題へと発展します!
この場合に地代の鑑定評価書が必要となるケースが出てくるのです。
現在の固定資産税の負担、地価水準等を指標に自動増額改定された地代に合理性があるか否かを慎重に判定する必要があります。