注目!全国新築億ション平均価格ランキング
新築億ションランキングから分析する市場の動向
2008年以降に全国で新規分譲された億ションの一物件あたりの平均価格(平均価格が1億円を超える新築マンションが
対象)を東京カンテイがランキングにして示しました。
2000年から2007年当時のランキングと比較すると、当時における平均価格の最高値(4億3,529万円)は上回ったもの
の、3億円以上の物件はほぼ半減しているようです。
各物件の所在地についてみると、上位にランクインした物件のほぼ9割が東京23区内に立地しており、その内訳は港区、
渋谷区、千代田区、世田谷区の4行政区で占められていることがわかります。さらに、億ションの中でもより高額な物件
ほど都心部に偏在している傾向があるようです。
また、それぞれの総戸数や階数、平均専有面積などを比較していくと、まず総戸数においては今回の平均が55戸に対して
これまでに供給された億ション全体でのランキングでは10戸、と5倍以上も個数規模に開きがあることがわかりました。
階数では、今回の平均が10階なのに対し、全体のランキングでは5階、と今回が大きく上回っていました。これまでは、
小規模低層の邸宅型の億ションが大半を占めていましたが、昨今では100戸以上かつ20階以上の物件も珍しくありませ
ん。一方、平均専有面積においては、今回の平均が125.60㎡、全体のランキングでは171.14㎡と居住スペースは縮小化
しています。
億ションと称される高額マンションですが、その中身についてはかなり変質してきているという印象を受けます。
第3次億ションブーム到来!?
昨今、都心の高価格帯マンションの販売が堅調で、1億円を超えるいわゆる億ションが完売となるなど、不動産会社の手
応えは大きいようです。リーマン・ショックや東日本大震災の影響で一時期販売が鈍っていましたが、最近ようやく回復
の兆しを見せているようです。
不動産経済研究所企画調査部によると億ションが堅調な理由について、「円安により海外の個人投資家から日本の高額物件への投資ニーズが高まっていることもある」と話し、株高によって消費が換気される資産効果を挙げています。
(日経産業新聞より引用)
また、東京カンテイは、今回のブームでは、もともとの資産家や富裕層だけでなく、日本株の資産効果によって新たに購買力を付けた投資家、さらにはインバウンド投資の一環として円安の影響を受けた国内不動産にも食指を伸ばした海外の投資家などがマンション価格の上昇を見込んで、新たに購入層として浮上してきた事などを億ション市場の拡大の要因として挙げています。このほか、2014年4月の消費増税前での駆け込み需要や2015年1月以降に適用となった相続増税への対応での購入なども大きく寄与しているとも分析しています。
都心回帰・・? イマドキの億ション購入者の視点とは
今回の億ションブームの特徴として、供給立地の都心回帰を挙げることができます。
2013年に6区全体の供給に占める億ションの割合が13.7%だったのは、2008年秋のリーマン・ショック後に不動産大手が底値で人気エリアの土地を仕込み、一気に発売したからであるという見方があります。
また2020年の日本東京五輪に向けて交通インフラが整備される見通しであることも、都心の人気を高めているようです。
億ション購入者の中には、物件の立地やスペックといったステータス性、周辺の住環境を含めた居住快適性だけでなく、
将来的に手放す際に資産価値が上がる可能性を秘めていることも求める人が出てきており、また震災後の職住近接ニーズの
高まりや、再開発が続く都心中心部に対して居住エリアとしての価値を見出す動きも強まっているようです。
かつてバブル期のステータスシンボルだった億ションですが、近年の購入層はリーマン・ショックや震災等を経て、将来を見据えたシビアな視点も持ち合わせているように感じられます。
億ションブームが到来する頻度はあまり高くありません。それ故に、その時代のトレンドや人々の価値観が顕著に映し出される「鏡」となっているのかもしれません。