「ホテルオークラ東京」、ついに本館を建て替えへ
■東京オリンピック見据え、外資系に対抗
(株)ホテルオークラは23日、「ホテルオークラ東京」の本館建替計画を発表しました。
“日本の伝統美”を残しながら、最新機能の設備を搭載する計画。2棟のうち高層棟にはオフィスを配置する予定です。
■事業計画の概要■
所在地 東京都港区虎ノ門二丁目10番
現況敷地面積 約26,200㎡
建物延床面積 約180,000㎡
建物高さ 約195m(地上38階、地下6階)
建物用途 ホテル、オフィス、美術館、駐車場
現本館閉館 2015年8月末
建替工事開始 2015年9月
新本館竣工 2019年2月末
新本館開業 2019年春
地上38階と13階の2棟のビルを新設し、2019年春の営業再開を目指す。2020年の東京オリンピックを控え、訪日外国人の増加を見込みます。
総事業費は1000億円超。新本館の客室数は約550と現在より3割増やし、1室当たりの面積も48~56平方メートルと5割以上広げます。38階建ての高層棟の約半分はオフィスが占め、賃貸収入も確保する予定です。
また、敷地の約半分に相当する約1.3haを緑地として整備し、災害時には一時避難場所としても開放します。
「御三家」と称される高級ホテル
ホテルオークラ東京は、前回の東京オリンピックの2年前の1962年に建設され、築50年以上が経過し老朽化していました。
同ホテルは、帝国ホテル、ホテルニューオータニと並んで東京で「御三家」と称される高級ホテルですが、これらの中でも、米国大使館に隣接するホテルオークラ東京は別格といわれており、外国要人の利用も多いことで有名です。
今年4月に国賓として来日したアメリカのオバマ大統領が宿泊したのは記憶に新しいですね。
89年に行われた昭和天皇の「大喪の礼」では13カ国の元首の宿泊を受け入れ。元ビートルズの故ジョン・レノンさんも来日時に同ホテルに宿泊しました。
新規開業による、競争激化
東京ではこのところ外資系のホテル進出が相次いでおり、国内資本のホテルから顧客が奪われる状況が続いています。
6月には米ハイアットグループの「アンダーズ東京」が虎ノ門ヒルズ(東京都港区)に開業、年内にはシンガポールに本拠を置く世界的な高級ホテルグループのアマンリゾーツが、東京・大手町に進出する予定です。昨年12月には米マリオット・インターナショナルが東京・品川で「東京マリオットホテル」を開業するなど、競争が一層激化しています。
特に、同じ虎ノ門地区に進出するアンダーズの開業により、かねてから客単価の低下が懸念されていました。
ホテルオークラ東京が建て替えを決断した背景
これまでホテルオークラ東京の建て替えについて慎重な姿勢でした。
その理由には同ホテルの立地にあると言われています。
同ホテルの敷地は大倉財閥の邸宅跡であり、虎ノ門という超一等地にありながら、周囲を見下ろす丘陵地勢になっています。
都心の喧噪から隔絶された立地が高級ホテルとしてはプラスに作用しますが、オフィスビルを備えた複合施設の建設には微妙な環境といえます。
しかし、隣接地の旧虎ノ門パストラル(東京農林年金会館)は森トラストが買収、再開発の準備が着々と進んでおり、これを受けてホテルオークラ東京は建て替えの決断に至ったものと考えられます。
周辺地域は、ホテルオークラ東京と米国大使館の存在で独特の雰囲気でしたが・・・・
新施設開業後は、その風景も大きく様変わりすることになります。