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三大都市圏に一部だけ該当する「南丹市」の具体的な範囲:地積規模の大きな宅地

南丹市において三大都市圏に該当する範囲

 

前回までは首都圏について一部三大都市圏に該当する10都市をピックアップし、具体的に三大都市圏に含まれる範囲について書きてきましたが、今回からはいよいよ近畿圏について書いていこうと思います。

 

近畿圏についても地積規模の大きな宅地の評価におけるフローチャートに従って、その適用可能面積を判断する際に、まず引っかかってくるのが、この「三大都市圏に該当する都市」ではないでしょうか?

 

特に近畿圏は市域の「全部」が58市もあり首都圏の約6倍です!

実務上、調査しなければならない場面も多く、そのたびに悩まれる税理士先生がいらっしゃるかもしれません。

 

そこで!

首都圏と同様に近畿圏についても三大都市圏に一部該当する都市について具体的にその範囲を特定してきたいと思います。

 

 

地積規模の大きな宅地の面積基準について500平米と1,000平米が混在する都市は?

 

近畿圏では・・・・

 

京都府(6都市)-京都市、宇治市、城陽市、長岡京市、南丹市、大山崎町

 

大阪府(27都市)-岸和田市、池田市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、河内長野市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、東大阪市、泉南市、四条畷市、交野市、阪南市、島本町、豊能町、能勢町、熊取町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村

 

兵庫県(7都市)-神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町

 

奈良県(18都市)-奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝市、葛城市、宇陀市、平群町、三郷町、斑鳩町、高取町、明日香村、吉野町、下市町

 

 

 三大都市圏(近畿圏)

地積規模の大きな宅地の評価 近畿圏

 

 

三大都市圏に明示されている近畿圏の南丹市については・・・

 

 

■ 市域の一部についてのみ500平米で適用可能という特殊な扱い ■

 

になっています!

 

本稿では、近畿圏のうち京都府南丹市について具体的にどの範囲が500平米で地積規模の大きな宅地といえるのか?その範囲は1,000平米なければ地積規模の大きな宅地に該当しないのか?について書いていきます。

 

 

 

南丹市のうち三大都市圏に指定された市域

地積規模の大きな宅地の評価 広大地改正

 

なぜ市域の一部についてのみ500平米で適用が可能な状態となってしまったかというと・・・・

 

そもそも近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域で指定された市町村名は・・・

 

■ 京都市及び神戸市については「昭和44年4月11日」
■ その他は昭和45年5月15日における行政区画、他の区域又は道路、河川若しくは鉄道によつて表示されたもの

で区分されています。

指定時点も2つあり、かつ指定区域の境が道路、河川、鉄道などの構造物でなされており非常に複雑です。

このため、近畿圏において一部三大都市圏に該当する都市について調査する場合には、それぞれの市域ごとに・・・

 

■ 市町村合併前の既成都市区域又は近郊整備区域の指定状況
■ 過去(昭和44~45年時点)の道路、河川、鉄道の状況

についても把握する必要があるのです。

 

これらの当時の状況を紐解くとこで、同じ南丹市であっても500平米で地積規模の大きな宅地といえるのか?又は1,000平米ないと地積規模の大きな宅地と判断できないのか?が分かれるのです!

 

これは実務上、理解しておくに越したことはありません!

ここを紐解くと、地積規模の大きな宅地について理解が大きく進むことになります!

近畿圏の一部三大都市圏に該当する都市の調査は非常に複雑なのです!

 

 

南丹市の市町村合併の推移

 

南丹市とは?

南丹市は、京都府中部の丹波地方に位置する市で、平成18年1月1日に旧船井郡園部町、旧八木町、旧日吉町、旧北桑田郡美山町が合併して誕生しました。

市域は東西に長く、京都府を南北に区切るような形をしており美山地区は豪雪地帯です。

 

 

京都府南丹市の位置

地積規模の大きな宅地 

 

 

南丹市の沿革は?

 

近畿圏整備法との関係から昭和44年以降について南丹市の市域の変遷について見てみます!

 

 

  1. H18年01月01日 (旧)園部町、八木町、日吉町、美山町が合併して南丹市へ

 

 

従って、南丹市の現在の市域のうち500平米で地積規模の大きな宅地といえる区域は旧船井郡園部町、旧八木町、旧日吉町、旧北桑田郡美山町のうち、合併前の昭和44~45年当時、どの都市が既成都市区域又は近郊整備区域に指定されていたかに加え過去(昭和44~45年時点)の道路、河川、鉄道の状況を調査する必要がありますのです!

 

 

 

京都府南丹市の合併前の旧市町村

広大地評価 改正

 

 

南丹市に合併する以前に三大都市圏に指定されていた都市は?

 

そもそも500平米で地積規模の大きな宅地といえるためには、三大都市圏に所在していることが必要です。

南丹市では合併前の旧園部町と旧八木町が近畿圏整備法の近郊整備区域に指定されていました。

 

 

 

 合併前の京都府南丹市と三大都市圏の範囲

広大地改正 地積規模の大きな宅地の評価

 

従って、南丹市の現在の市域のうち500平米で地積規模の大きな宅地といえる区域は旧園部町、旧八木町の範囲であり、そのほかの旧日吉町、旧美山町については原則通り、1,000平米以上で地積規模の大きな宅地といえることになります。

 

 

京都府南丹市については旧園部町、旧八木町についてのみ500平米で地積規模の大きな宅地となるがそれ以外の旧日吉町、旧美山町の範囲では原則通り1,000平米から地積規模の大きな宅地となる!

 

 

 合併後の京都府南丹町と三大都市圏の範囲 

広大地改正

 

(参考)市域の一部についてのみ500平米が認められる都市と市町村合併

 

「地積規模の大きな宅地」で明示された都市、特に市域の一部についてのみ500平米が認められる都市については市町村合併を意識した調査を行えば、都市のうちどの部分が500平米で地積規模の大きな宅地となるのかがわかるのです!

 

そこで、これを具体的に可視化していきたいと思います。

次回はいよいよ京都府最後の大山崎町について書いていきます!

 

 

三大都市圏の範囲については非常にリクエストが多かったため、弊社で三大都市圏に該当するかをすぐに判定できる地図アプリケーションを作成しました。是非ご利用ください。(2019年3月28日付)

 

■ フルサイトはこちら ■

三大都市圏に該当する都市(Webアプリケーション)

 

■操作方法はこちら■

三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)の範囲がすぐわかる

 

 

市域の一部についてのみ500平米が認められる市は?

 

埼玉県-熊谷市、飯能市

千葉県-木更津市、成田市、市原市、君津市、富津市、袖ケ浦市

神奈川県-相模原市

茨城県-常総市

 

京都府-京都市、宇治市、城陽市、長岡京市、南丹市、大山崎町

大阪府-岸和田市、池田市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、河内長野市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、東大阪市、泉南市、四条畷市、交野市、阪南市、島本町、豊能町、能勢町、熊取町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村

兵庫県-神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町

奈良県-奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝市、葛城市、宇陀市、平群町、三郷町、斑鳩町、高取町、明日香村、吉野町、下市町

 

愛知県-岡崎市、豊田市

三重県-いなべ市

 

地積規模の大きな宅地の評価:フローチャート

 

フローチャート 三大都市圏に該当する都市

 

 

そもそも三大都市圏とは?

 

地積規模の大きな宅地を評価する場合の三大都市圏とは、次の地域をいいます。

 

 

①首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯

 

②近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域

 

③中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

 

 

これら既成市街地、近郊整備地帯、既成都市区域、近郊整備区域、都市整備区域に規定された市町村の市街化区域に広大地が所在する場合、500平米以上で地積規模の大きな宅地の要件を満たすことになります。

 

 

地積規模の大きな宅地-500平米で適用可能な地域(一部はどこ?)

 

前記のとおり財産評価基本通達20-2「地積規模の大きな宅地の評価」は形式基準であることから、広大地のように開発許可基準面積や条例による面積の引き下げなど実態を調査する必要がないのである程度画一的判断が可能です。

 

しかしながら・・・・

 

上記のとおり市全域ではなく市域の一部について500平米から適用可能な都市があります。

例えば・・・

首都圏の埼玉県の熊谷市、飯能市などです!

 

地元であれば調査も容易でしょうが、全国的に相続案件を手掛けていらっしゃる先生にとっては煩わしい調査です。

そこで、市全域ではなく市域の一部について500平米から適用可能な都市について、その範囲を可視化してみます。なお国税庁の資料ですと下記の赤い都市になります。

 

500㎡で適用可能(一部)

 

■ 関連情報 ■
「地積規模の大きな宅地の評価」についてのカテゴリー記事はこちら
地積規模の大きな宅地の評価とは?不動産鑑定士の立場からはこちら
地積規模の大きな宅地の評価とは?その歴史と背景はこちら
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(参考)近畿圏整備法と近畿圏整備法施行令の抜粋

 

最後に近畿圏における地積規模の大きな宅地に関連する近畿圏整備法と近畿圏整備法施行令について見ていきましょう!

 

 

近畿圏整備法とは?

 

第一章 総則

 

(目的)

第一条  この法律は、近畿圏の整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、首都圏と並ぶわが国の経済、文化等の中心としてふさわしい近畿圏の建設とその秩序ある発展を図ることを目的とする。

 

 

(定義)

第二条  この法律で「近畿圏」とは、福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県の区域(政令で定める区域を除く。)を一体とした広域をいう。

 

 

(省略)

 

3  この法律で「既成都市区域」とは、大阪市、神戸市及び京都市の区域並びにこれらと連接する都市の区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止し、かつ、都市の機能の維持及び増進を図る必要がある市街地の区域で、政令で定めるものをいう。

 

4  この法律で「近郊整備区域」とは、既成都市区域の近郊で、第十一条第一項の規定により指定された区域をいう。

 

 

(省略)

 

 

(近郊整備区域の指定)

第十一条  国土交通大臣は、既成都市区域の近郊で、当該既成都市区域の市街地の無秩序な拡大を防止するため、計画的に市街地として整備する必要がある区域を近郊整備区域として指定することができる。

 

 

(省略)

 

 

近畿圏整備法施行令とは?

 

(既成都市区域)

第一条  近畿圏整備法 (以下「法」という。)第二条第三項 の政令で定める市街地の区域は、大阪市の区域及び別表に掲げる区域とする。

 

 

 

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