市街地山林で宅地転用が物理的に不可能であることの証明(その1)
山林の評価
山林の評価についての「おさらい」というか確認ですが・・・・
山林は以下の区分に応じて評価します。
- 純山林 倍率方式
- 中間山林 倍率方式
- 市街地山林 宅地比準方式又は倍率方式
市街地山林の評価
市街地山林については財産評価基本通達49に評価方法が明示されています。
(市街地山林の評価)
市街地山林の価額は、その山林が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
ただし、その市街地山林の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある市街地山林の価額は、その山林の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。
ここで問題となるのは・・・・・
宅地への転用が見込めないと認めれれる場合はと具体的にどんなケースなのか?
ということです。
このケースに当てはまれば、山林の評価額は宅地比準方式に比べて著しく低くなるのです。
宅地への転用が見込めないと認められる場合
その具体例は・・・・
- ケース1宅地比準方式による評価額が近隣純山林による比準価額を下回る場合
- ケース2急傾斜地等であるために宅地造成ができないと認められる場合
です。
ケース1については「経済合理性」から宅地化が困難と判断されるものです。
ケース2については「物理的」に宅地化できないと判断されるものとなります!
ここでは特にケース2に絞って話を進めましょう!
物理的に宅地化が困難な場合とは?
いわゆる平成16年情報では、「急傾斜地の目安として30度以上とすることも一案である」と述べられています。
すなわち評価対象地の斜度が30度以上であれば近隣の純山林の価額に比準して評価する可能性が高くなると言えるのです。
では?????
評価対象地の傾斜が30度以上あることを、どのように立証するのでしょうか????
これについては、「市街地山林で宅地転用が物理的に不可能であることの証明(その2)」で述べていきたいと思います。
傾斜が30度以上ある市街地山林については、純山林として評価する蓋然性を検討しなければならない!
この場合、宅地比準方式との差額は非常に大きなものとなるため、留意が必要である。