遺留分減殺請求と鑑定評価 その2
最近、依頼が増えている「遺留分減殺請求」に伴う不動産の鑑定評価ですが・・・・
ある特徴があります。
それは・・・
- どの家庭、家族でも起こりうる事態である
ということです。
遺留分減殺請求でもめているのは、何も富裕層に限ったことではないのです。
ごくごく一般的な普通の家庭であっても遺留分減殺請求でもめているケースはいくらでもあるのです。
私なりに思う理由としては以下の点が多いのではないでしょうか?
- 1権利主張を積極的にする相続人が増加
・配偶者が口出し
・インターネット等により情報が得られやすい
- 2核家族化の影響
・親族関係が希薄化
・自宅の不動産以外、分けるべき財産がない・・・現金がない
以下、遺留分について見ていきましょう。
遺留分減殺請求がされると・・・・
遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害している受遺者や受贈者、あるいは他の相続人に対してその侵害額を請求することができます。これを 遺留分減殺請求 といいます。
遺留分が侵害されている者は、自分自身が減殺請求してはじめて遺留分を取り戻すことができるのであって、請求しなければ、遺贈などを受けた者がそのまま財産を取得することになります。
遺留分減殺請求の方式にとくに決まりはなく、受贈者又は受遺者に対する意思表示だけで効力が生じ、必ずしも裁判上の請求による必要はありません。
しかし、裁判外で請求する場合は、後日の証拠のために、通常は 内容証明郵便により行うのが一般的です。
遺留分減殺請求の効果とは?
遺留分減殺請求の意思表示が相手方に届いた時点で、遺留分を侵害している遺贈または贈与の効果が失われるので、遺留分を限度として遺留分権利者の所有に属することになります( 形成権)。
あとは話し合いで、また、場合によっては調停や訴訟によって、遺留分に見合う遺産を現実に取り戻すことになります。
相続財産の半分以上を占める不動産の時価評価が重要
遺留分を侵害しているか否かを判断するに当たって、不動産の価格をどのように評価するか非常に重要な要素になってきます。なぜなら被相続人の財産価値のうち不動産はその多くを占める場合が多く、減殺請求の割合は一律で決まってしまっても総財産の時価が高ければ侵害があるかないかについての判断に大きく影響するからです。
固定資産税評価額や相続税評価額で遺留分侵害の有無を判断するのは非常に危険だと認識しなければなりません。
これは遺言書作成時においても意識する必要がある重要事項なのです・・・
不動産の時価をどのように考えるか(評価するか)によって遺留分減額請求の進め方(対策)は大きく変わる。