土地の時価とは?(時価の種類)
土地の時価とは?
私たち不動産鑑定士は職業柄、以下のようなご依頼を受けます。
「土地の時価を教えてください」
この場合の時価とはどのようか価格なのか?
ご依頼者が「時価を必要とする理由」により求める「時価の解釈」が異なるので注意が必要です。
土地の時価の種類について
多くのご意見があると思いますが、一般的な時価としては以下の3つに大別されます。
- 1正常価格
- 2相続税路線価から求めた評価額
- 3固定資産税路線価から求めた評価額
ここで注意しなければならないのは、時価には一定の幅がある事です。
評価主体の判断、情報量、精通度などにより、ある程度のブレが生じます。
正常価格と相続税法第22条に定める時価
正常価格とは、簡単に言うと「不特定多数の当事者間で成立する価格」です。
不動産鑑定士が通常求める価格になります。
重要なのは「正常価格の考え方」は「相続税法第22条に定める時価の意義」と同じ意味なのです。
すべての土地価格を検討する場合に「基準」となるもので、正常価格(相続税法第22条の時価)と相続税路線価より求めた評価額との乖離を精緻に把握できる専門家は残念ながら多くはありません。
「正常価格の考え方」は「相続税法第22条に定める時価の意義」と同じ意味で不動産鑑定士が通常求める価格である。
相続税路線価より求めた評価額
簡単に言うと相続・贈与税申告に主として用いられる時価です。
毎年7月に発表される相続税路線価を基礎に財産評価基本通達の定めるところに従い求められる評価額であり、「税理士先生が主として用いる時価」です。
先述の正常価格(=相続税法第22条)より20%低い水準の時価と言うイメージです。
いわゆる「安全性の高い評価額」と位置づけて良いでしょう。
正常価格の8割水準に設定されている理由としては・・・
- 評価方法があくまで通達によって定められていること
- 国税たる相続税の申告に用いられる時価であること
などが挙げられます。
簡単に言うと「通達は法律を超えられない・・・」「使用頻度が一生に数回である・・・」ことから時価より20%低目にしておけば足りるといってところでしょうか。
全国一律の基準により評価されるため土地の個別性を反映し難いケースがありますが、評価の簡便性・客観性の観点から実務上、非常に重要な時価です。
通達を基礎にする以上、納税者を法的に拘束する法源性はありませんが「実務上、納税者に課税予測性を与える」重要な指針であり、「実質的に納税者と税理士先生を拘束する時価」です。
また、実質上、財産評価基本通達は資産評価の「バイブル」として機能しているため、当該通達と関連する「情報・事務連絡」及び「国税不服審判所裁決事例」に精通しているか否かが実務家としての力量を決定します。
相続税法 > 通達であっても、財産評価基本通達は資産評価のバイブルであり、実務上、納税者に課税予測性を与える重要指針である。
固定資産税路線価より求めた評価
一般の方がイメージする土地の時価は「固定資産税評価額」ではないでしょうか?
毎年、固定資産税を課税するために設定される時価で土地所有者等は毎年市町村からの通知で目にするからです。
先述の正常価格(=相続税法第22条)より30%低く、相続税評価額の10」%低い水準と言うイメージです。
いわゆる「堅めの評価額」です。
正常価格の7割水準に設定されている理由としては・・・
- 評価方法があくまで通達によって定められていること
- 固定資産税(地方税)は毎年課税するためより安全性の高い評価額を用いる必要があること
が挙げられます。
相続税が課税されない場合の遺産分割協議で土地の価格を把握する場合などで便宜上良く用いられます。
正常価格を100とすると相続税評価額80、固定資産税評価額70の水準である。
正常価格は法律に基づくもの、相続税評価額は通達に基づくものである。
道路交通に例えると法廷速度が時速100キロと決められた高速道路を、安全性の観点から時速80キロ以上の速度がでないように調整した車で走っている。そんなイメージでしょうか・・・