借地権と土地評価、その歴史について
民法上の借地権
財産評価において借地権は難解な部類に入るのではないでしょうか?
その理由は「民法上の借地権」と「税法上の借地権」の区分について区分が、やや難解である事が理由ではないかと考えています。
そこを紐解くには、まず民法上の借地権とその背景を理解する必要があります・・・
明治29年当時の民法では土地賃貸借は「地上権」と「賃借権」で行われていました。
地上権(物権)
存続期間は原則自由、定めがない場合には20から50年以下の範囲で裁判所が決定します。
地上権は物権ですから、当然、地主の承諾なしで地上権の登記が可能、第三者対抗要件を具備します。
また、地上権の処分に際して地主の許可は不要です。
また、賃借権と異なり有償、無償は問いません。
賃借権(債権)
存続期間は20年以下、更新時に20年以下で更新可能です。
賃借権は債権ですから、その登記には地主の承諾が必要となります。
処分には当然、地主の承諾が必要です。
ここで注意しなければならないのは・・・・・
- 賃貸借は必ず有償である
と言うことです!
無償であればそれは使用貸借であり、賃貸借とは言えません!
地上権と賃借権はどちらが有利?
地主からすれば地上権は借地人に有利だから賃借権で土地を貸したいですよね。
当然、地主の意見で土地は賃借権で貸し借りされる事になります。
そうなると借地権者の立場は大変弱いものになり問題が生じました・・・・
それを象徴する言葉が「地震売買」です。
地震売買とは「地上権または土地の賃借権が登記されていない場合に、地主が地代値上げの目的で建物のある土地を仮装的に売買すること」です。
地震のように借地上の建物の存立の基盤を危うくするところからこのようなネーミングになったと言われています。いわゆる「売買は賃貸借を破る」です!
その是正のために・・・・
- 建物保護に関する法律(明治24年)
- (旧)借地法
の2つの法律ができて、適時改正が行われたのです!
強固な権利である「地上権」は有償・無償を問わないが、より脆弱な権利である賃貸借は必ず有償である。
昔の土地賃貸借は「地上権」と「賃借権」で行われていたが「地震売買」の横行により賃借権(債権)の保護を図る社会的要請が生じた!