共有物分割請求と鑑定評価(全面的価格賠償)-その1
共有物分割請求とは?
今も昔も不動産、特に土地のトラブルで多いのが、この共有不動産です。
共有にした当時は仲が良かった兄弟、親戚であっても・・・その後、関係が悪化したり、相続による代替わりにより疎遠な人と土地を共有することになり・・・地代の分け合いや利用方法などでトラブルになる事は多いです。
もちろん話し合いで解決出来るに越したことはないですね。
他の共有者の持分を買い取ったり、持分の交換などで共有不動産を単独所有の不動産に整理するために鑑定評価をご依頼頂くケースも多いのです。
実際、共有不動産は共有者の1人でも売却に反対であれば実質的に換金は出来ませんし、金銭的な方法で解決した方が良いケースは多々あります。
- 共有物の分割は協議による事が原則であり(民法258条)・・・
- 分割の方法も当事者で決めることが出来ます。
協議で解決する場合、分割の方法は自由ですし解決を急ぐため色々な提案を行う事もできます。
また下記の現物分割のデメリットや共有不動産の持分の価格、分割案に応じた各々の不動産の価格を検討するなどやれることは沢山あるのです!
また稀なケースですが・・・・
持分の買い取りを模索していた共有者の方々が一致団結して共有を維持したまま、そのまま駐車場にしてしまって円満になったケースもありました!
弁護士先生や不動産鑑定士の意見・提案を協議で利用して頂くことで思わぬ解決方法が見つかる事もあります。
全員が納得するのは難しいですがより良い落としどころの模索に我々を使って頂くといいかなぁと思います。
同時に共有不動産や借地(底地)でお悩みの方は資産家の方が多く、いづれやってくる相続への対策が必要な方も多いのです。
自らが苦しんだ共有不動産を生み出さないように、しっかり「遺言」の準備をする事をお勧めしています。
協議による共有物の分割の場合、他の共有者の持分の価格を鑑定評価により決定する、又は基準とする事で問題をスムーズに解決できます。
裁判所による分割
しかし、話し合いで何ともならない!ような場合には・・・・
- 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することが出来ます(民法256条1項本文)。
- この場合の分割は現物分割が原則ですが・・・・
不動産を現物分割すると分割後の 各々の土地価格の合計額が分割前の土地価格を下回る事が多く、話し合いで解決できないとは言え経済的には不効率な場合が多いのです。
現物分割とは・・・・
文字通り土地を2つに分割(分筆)してそれぞれの土地を単独名義にする事を指します。
例えばA・B共有の一筆の土地を現物分割する場合、まず土地につき分筆をします。
分筆された土地はそれぞれA・B共有のままですが、一方にB持分全部移転登記をし、もう一方にA持分全部移転登記をします。これによってA単独所有の土地とB単独所有の土地の二筆を生み出すのです。
しかし、面積が大きくて間口も十分すぎる土地であれば2つに分割しても問題がないかもしれませんが、多くの場合には2つに分割した面積では小さすぎたり、間口が小さくなったり一方は角地で他方は中間画地といった不具合が発生します。
可能な限り話し合いで解決出来るに越したことはないのです。
従って共有不動産でお悩みの方はなるべく協議で決着することをおすすめします。