地積規模の大きな宅地の評価とは?不動産鑑定士の立場から
第1 はじめに
皆様、ご承知のとおり平成29年9月の通達一部改正により「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました。
平成30年1月1日からの相続発生分と贈与に関しては「地積規模の大きな宅地の評価」が適用され、従来の「広大地の評価」は廃止されることになりました。
平成30年1月1日以降は「地積規模の大きな宅地の評価」
財産評価基本通達20-2が新設される!
従前の「広大地の評価(財産評価基本通達24-4)」は廃止!
第2 そもそも「地積規模の大きな宅地の評価」とは?
地積規模の大きな宅地とは・・・
三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地をいいます。
但し、次の1から4のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
1 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定す
る開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
2 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
3 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
4 評価通達22-2に定める大規模工場用地
これらの要件を充足する土地が「地積規模の大きな宅地」と定義されます。
そして要件を満たす「地積規模の大きな宅地」のうち・・・・
財産評価基本通達20-2による評価減を行ってよい土地は!
- 路線価地域に所在するものについては
普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するもの
- 倍率地域に所在するものについては
地積規模の大きな宅地に該当する宅地
となります!
詳細は国税局がフローチャートを示しています。
第3 地積規模の大きな宅地の評価のフローチャート
フローチャートはまず、地積規模の大きな宅地の評価を適用可能か否かについて、路線価地域か否かで大別しています!それから所在する地域ごとの面積要件となります。
従前の広大地規定に見られた「実態基準」は全くありません!
すべて「形式基準」に統一されています。
この「地積規模の大きな宅地の評価」は広大地評価の基本的な評価減の考え方は引き継ぐものの、その効果はより小さなものとなっています。しかしながら、これまで広大地が適用できるか否かについて税理士先生が実務上苦悩する場面は大きく減少すると思われます。
これは以前に書いたトピックでも触れていますが、従前の広大地評価は適用可能か否かの判断が非常に難しいことから、適用可否の判断を容易に行うための改正、「地積規模の大きな宅地の評価」の新設であるといえます。
第4 「地積規模の大きな宅地の評価」の計算式
上記フローチャートの要件を満たす「地積規模の大きな宅地」のうち路線価地域に所在する場合には下記の計算式を用います。
路線価 × 奥行価格補正率 × 不整形地補正率などの各種画地補正率 × 規模格差補正率 × 地積(㎡)
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
規模格差補正についてはこちらです。
「地積規模の大きな宅地の評価」は、適用要件の明確化と評価減の縮小が大きなトピックとなっていますが・・・
この改正(新設)が行われた歴史と背景について書いていきます。
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