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知っておきたい広大地のキーポイント その3 近年多発する広大地をめぐるトラブル

第1 はじめに

 

財産評価基本通達24-4は土地の評価額を減額する効果が大きいゆえに、これを適用しなかったり否認された場合の各相続人への経済的負担が非常に大きくなります。

また計算は非常に簡便に改正された反面、適用の判断について難解な部分も多く、適用について争いとなった個々のケースについて具体的な判断や解決指針を明確に見出すことが困難です。

 

このため近年、広大地判定に関するトラブルが多発しています。

そこで、その原因について広大地規定の特徴と法的背景などを踏まえて書いていきたいと思います。

 

 

第2 平成16年以降の広大地規定の特徴とは?

 

 前回、広大地についてトラブルが多発する理由について、財産評価基本通達24-4は土地の評価額を減額する効果が大きく、反面、否認された場合の各相続人への経済的負担が非常に大きくなることを書きました。

 

現在の広大地規定には・・・

 

 

 

          1.  1  評価額の算出・計算は極めて簡単であるが・・・・・・・・・・
  1.  2  計算は非常に簡便だが、適用しても良いかの判断が極めて難しい

 

 

 

という二面性を内在しています。

 

明らかに広大地と判断できる土地については暗算で評価額を計算できるぐらい計算式が簡便ですが、適用して良いかの判断が極めて難しくなったのです。

これは一世代前の広大地規定(平成6年基準)の適用が煩雑であったことに起因すると個人的には考えています。

 

 

 

第3 広大地の判定に不動産鑑定士が必要な理由とは?

 

なぜ、広大地判定に不動産鑑定士の判断が必要なのか?

以下、相続税法の実務上の運用背景を踏まえ、その理由を探ってみます。

 

 

 1.租税法律主義と課税要件明確主義について

 

わが国では、日本国憲法第30条及び第84条から「国民は法律の定めるところにより納税の義務」を負うとともに、その「課税およびその変更には法律又は法律の定める条件」が必要で、租税法律主義による課税要件の確定が明言されています。

 

このため、相続税に代表される申告税の場合、特に、課税要件に関して明確な基準が必要なのです。

 

相続税法第22条では、相続財産の評価について「課税時期における時価」によって評価する旨を規定していますが、その具体的な個々の評価規定については「国税庁財産評価基本通達」に委任する形式をとっています。

 

 

 2.相続税法と財産評価基本「通達」の法源性

 

 本来、財産評価基本通達は国税庁が税務署に対して相続税法の解釈に関する留意事項やその運用執行を指示することを目的とするものなので、各納税義務者に対して何らの拘束力を有するものではありません。

 

しかしながら、相続税の申告業務は財産評価基本通達に則して行われる場合が多く、実務上、非常に重要な位置を占めていると解釈せざるを得ません。

 

また、通達と同様に法源性はありませんが資産評価企画官情報、国税庁が公表する質疑応答事例は納税義務者の課税予測性を大きく左右する重要な判断基準として機能しており、事実上、納税義務者を拘束する重要な基準となっています。

 

したがって、財産評価基本通達等の具体的な運用に際しては相続税法の解釈の範囲内であることはもちろん、「評価の統一性」及び「評価の簡便性」が不可欠となっているのです。

 

 

 3.なぜ「広大地判定」に不動産鑑定士が不可欠なのか?

 

しかしながら、財産評価基本通達24-4(広大地の評価)の適用判断については、都市計画法、建築基準法、その他条例及び行政指導など、税法以外の不動産に関する法律、法令等の解釈が必要な部分が含まれているのです。

 

相続財産である土地が所在する都道府県、市町村によって条例、開発に関する行政指導の内容が異なりますし、また、課税時期における所在地特有の不動産市況に関する分析結果によって広大地の適用判断が変更される場合があるなど、本来、画一的一律的な処理と結果が求められる財産評価基本通達の規定であるにもかかわらず、地域性・個別性に関する判断を含む内容となっています。

 

このような理由から広大地を適用可能か否かの判断は非常に難解でトラブルを生じる原因となっており、我々のような不動産鑑定士が意見を求められることとなります。

 

この場合の不動産鑑定士の役割としては「評価の統一性」及び「評価の簡便性」の観点から、不動産鑑定評価基準及びその留意事項や価格調査等ガイドラインなどの難解な専門的理論に基づく判断・解釈を持ち込むべきではなく、実務上、納税者を拘束する財産評価基本通達、資産評価企画官情報、国税庁が公表する質疑応答事例について、どのような解釈や判断が導き出されるのか、税法以外の不動産に関する法令等やその土地特有の市場や地域性について客観的な意見を述べることにあります。

 

そして、その判断は相続が発生した課税時期において財産評価基本通達24-4(広大地の評価)の適用が可能であったかについて調査を行い、その判断を述べるとともに、その判断に至った根拠資料を示すものなのです。

 

ここに現在の第三世代:広大地判定の難しさがあります・・・・

 

 

広大地の適用判断については、都市計画法、建築基準法、その他条例及び行政指導など、税法以外の不動産に関する法律、法令等の解釈が必要、さらに

都道府県、市町村によって条例、開発に関する行政指導の内容が異なり、課税時期の分析結果によって広大地の適用判断が変更される場合がある。

 

財産評価基本通達、資産評価企画官情報、質疑応答事例について、どのような解釈や判断が導き出されるのか、税法以外の不動産に関する法令等やその土地特有の市場や地域性について客観的な意見が必要である。

 

 

第4 目次

 

 

  1. 1  広大地に関する紛争当事者となった場合の留意点
  2. 2  紛争が多発する広大地判定の歴史と沿革
  3. 3  近年多発する広大地をめぐるトラブル(本稿)
  1. 4  あらためて広大地適用の3要件について考えてみる
  2. 5  広大地判定に不可欠な開発行為への理解
  3. 6  広大地判定フローチャートとマンション適地の判定
  4. 7  相手方の広大地判定に関する意見書は恐れるに足らず!

 

 

 

 

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知っておきたい広大地のキーポイント その7 相手方の広大地判定に関する意見書は恐れるに足らず!

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