初回の面談は無料です。お電話での予約はこちら お電話でのお問い合わせはこちら052-238-1911

地代改定と鑑定評価(その4)-固定資産税(年額)の3倍を地代の年額とする自動改定の有効性

特約の有効性は?

例えば地主と借地人との間で以下の特約をおりこんだ借地契約を締結したとしましょう。

 

  •  地代(年額)は固定資産税の3倍とする。

 

この特約は有効でしょうか???

毎年の地代は固定資産税の変動により改定されるということになります。

そして増額、減額のいずれの可能性もある特約です。

また地主は支払われた地代の1/3を固定資産税として納税する事を考えれば一定の合理性はあるし、慣習上も固定資産税の3倍を地代とするのは良くある話しです。

 

従って、固定資産税が上昇なり下落なりしていても、その変化が安定的なものであれば、あまり問題を生じないとも言えます。逆に合理的ですらあります。

よって固定資産税が契約当初より安定的に推移していれば特段の事情変更もなく、かつ借地人に著しく不利な特約とも言えない以上・・・・・

 

  •  特約は有効

 

と考えるのが一般的だと思います。

 

では?固定資産税が急激に高くなったケースではどうでしょうか?

例えば借地人が居住用建物の所有を目的に土地を借りており、その地代は上記特約で改定されていたとしましょう。

ところが、借地人は居住用建物を店舗に改装して商売をはじめたと仮定します。

そうすれば今までは小規模住宅用地の特例に対する課税標準の特例を受けれなくなり固定資産税は大幅に上昇することになります。同時にその3倍が地代となるわけですから地代も一気に高くなる。

このようなケースであっても特約は有効といえるのでしょうか?

 

 

こういうケースについて、事情変更の原則に照らして特約が有効かを考えてみましょう。

事情変更の4要件は以下の通りです。

 

 

  1. 1契約締結後に著しい事情(当該契約の基礎となっていた客観的事情)の変更が生じたこと
  2. 2著しい事情の変更を当事者が予見できなかったこと
  3. 3著しい事情の変更が当事者の責に帰すべからざる事由によって生じたこと
  4. 4契約どおりの履行を強制することが著しく公平に反し、信義則にもとること

 

 

要件1について

確かに著しい固定資産税の増額により大幅な地代の上昇が発生することになりますが・・・・

 

要件2、3について

予見可能性については・・・・

借地人自ら店舗改装を行っていることを考えると予見すべき事象と言えるのではないでしょうか??

 

要件4について

借地人は店舗営業により収益を獲得できていると考えると・・・・・

借地人に著しく不利益とは言えないのではないでしょうか??

 

私見と参考判例

以上から考えると上記のケースは特約が有効となる可能性が高いのではないでしょうか?

従って、地代の減額請求の問題には至らず鑑定評価は不要?となると思います・・・・

 

なお、公租公課を基準に自動改定特約を設定した借地契約において前年の約3倍相当の増額があっても特約を有効とする判例もあります。

 

 

 事情変更の原則4要件を満たすか否かについては個別の契約内容、経緯等を十分に検討する必要があり、当然特約が無効となり減額請求の問題に発展するケースも十分ありえます。

 

 

初回の面談は無料です。お電話での予約はこちら お電話でのお問い合わせはこちら052-238-1911 インターネットでのお問い合わせ

ページの先頭に戻る