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不動産オーナー必見!賃料を増額できる可能性が高い地域はどこ?-その2

 

前回は賃料の構成内容について整理してみましたが、今回はご相談者の最大の関心事で賃料の増減額の可能性について考察してみます!

賃料が上昇している地域であるか?下落している地域であるか?が直ぐに分かると便利です。

 

例えば、賃料の増額を借主へ申入れしたい貸主ならば・・・・

物件の所在地の地価は上昇傾向であると明示できれば、賃料値上げの根拠になります。

他方、工場敷地を借りている企業は周辺地価が下落傾向であれば賃料値下げ交渉を行う根拠となる可能性があるのです。

 

そこで、今回は賃料が上昇または下落傾向にあると思われる地域を視覚的に図示してみます。

 

 

賃料の傾向を把握する場合の基準点は?

 

賃料を構成する土地の価格が上昇傾向にあるか下落傾向にあるかを分析する場合には・・・

いつ時点から上昇下落しているかを決める必要があります。

 

経験上、賃料改定を考える場合には地価のみならず経済動向の分析が不可欠です。

そこで、日経平均株価の年末の終値の推移と全国の地価動向を分析してみます!

 

 

 

 

なお、余談ですが賃料の増減額の交渉、調停、訴訟を行う場合には「直近合意時点」という概念が非常に重要です。

 

直近合意時点とは「契約当事者間で現行賃料を合意しそれを適用した時点」であり、継続中の賃貸借契約に基づく賃料を分析する基準点となるものです!

 

日本経済に大きな影響を与えた出来事といえば2008年の世界的な金融危機(リーマン・ショック)ではないでしょうか?リーマンショックにより日本経済はもちろん世界経済も減速し、更に2011年の東日本大震災をうけて株価はバブル経済後最低の水準となりました。

 

実は、この時期に賃料の減額改定が多く行われました。多くのテナントや借主から賃料の見直し、減額交渉の申し込みが殺到し、泣く泣く貸主やオーナーが賃料の減額に応じてきた経緯があります。

不動産オーナーの立場からは・・・「確かに2009年に賃料の減額に応じた」だから「そろそろ減額した家賃・賃料を元々の水準に戻してほしい」欲をいえば「日本経済は好調なのだから減額前の水準よりも高い賃料に改定したい」と考える不動産オーナーは多いのです!

 

その後、アベノミクス等の経済政策により株価は順調に回復しますが・・・

地価は株価ほど回復、上昇反転していないようにグラフでは見えます。

「株価推移と地価のトレンドが乖離」して見えてしまうのです。

 

実はここが大きな落とし穴なのです!

 

 

株価と地価推移の落とし穴とは?

 

株価に対して地価はそれほど回復していないのか?

 

答えは「場所による」です。

 

つまり、良い場所、人気のある場所、企業の生産活動・販売活動に有利な場所は株価の上昇を超えて値上がりしています!反面、悪い場所、すなわち人気のない、生産販売活動に不利な地域の地価は回復どころか下落がとならない状況です。

 

つまり「地価の二極化」です。

 

 

上記グラフの地価水準の推移はあくまで全国平均です。全国の住宅地も商業地、工業地もすべて内包した平均値であるため、日経平均株価の上昇ほど地価が回復していないように見えるのです。

 

このため、賃料・家賃を増額したい不動産オーナーは自分の物件が直近合意時点意向、地価がどれぐらい上昇しているかを見てみることが、賃料増額交渉の第一歩となるのです!

 

実際増額の可能性が高いが否かは詳細な分析が必要となりますが、賃料値上げをしたい物件の地価が上昇しているに越したことはないのです。

 

反面、地価が上昇していないと絶対に賃料を上げられないのか?との疑問が生じますが、前述のとおり地価は賃料の構成要素であり全てではありません。地価変動以外の諸要因を分析することで十分値上げを申し入れることが妥当な場合もあります。

 

 

賃料の増額改定が見込まれる地域と用途

 

本件ではリーマンショック発生後の2010年(平成22年)に「契約当事者間で現行賃料の減額を合意した」と仮定して分析してみましょう!

直近合意時点を平成22年1月1日と仮定します!

 

 

東京圏の用途ごとの地価推移

 

東京圏の地価動向を住宅地、商業地、工業地の用途ごとに平均価格の推移を見てみます!

 

 

東京圏ではリーマンショック以降、商業地の地価が大きく上昇、住宅地と工業地に大きな変動は無いように見えます。

しかし、ここがグラフの落とし穴なのです!

直近合意時点からの地価変動を正しく認識するには平成22年の価格を100=基準として、どれだけ変動しているのか?指数で比較検討する必要があるのです!

 

そこで上記のグラフを指数化したものが下のグラフです。

 

 

 

  •  平成22年住宅地の価格水準を100とすると平成30年は109です。
  •  平成22年商業地の価格水準を100とすると平成30年は125です。
  •  平成22年工業地の価格水準を100とすると平成30年は128です。

 

前述の全国平均のグラフとは大きく傾向が異なることが見て取れます。

あくまで全国平均の数値は住宅地、商業地、工業地もすべて合算した数値なのです。

また、特に都心部では「地価の二極化」も進んでいるため、商業地の立地などにより傾向も大きく異なってきます。

なお、東京圏とは「首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町の区域」で、下記の赤い部分で示され、概ね東京都とその周辺市を含む範囲と考えて差し支えありません。

 

従って、東京圏は住宅地、商業地、工業地の全用途で賃料値上げがしやすい地域といえます。

 

また、東京圏といえば商業地のイメージが強いのですが・・・・・

工業地の地価上昇は商業地より大きいため、特に工業地の賃料を注視する必要があります!

 

 

 

 

 

大阪圏の用途ごとの地価推移

 

大阪圏の地価動向を住宅地、商業地、工業地の用途ごとに平均価格の推移を見てみます!

 

 

大阪圏でもリーマンショック以降、地価が大きく変動していますが、直近合意時点からの地価変動を正しく認識するには平成22年の価格を100=基準として、指数で比較検討します。

 

上記のグラフを指数化したものが下のグラフです。

 

 

 

  •  平成22年住宅地の価格水準を100とすると平成30年は97です。
  •  平成22年商業地の価格水準を100とすると平成30年は132です。
  •  平成22年工業地の価格水準を100とすると平成30年は102です。

 

上記から大阪圏は商業地の賃料値上げがしやすい地域といえます。

反対に、住宅地は100を下回っており住宅地の値上げがしにくいともいえます。

工業地の地価はほどんど変動がありません。

 

 

大阪圏は同じ大都市圏である東京、名古屋圏とやや異なる傾向を示しており、商業地は外国人観光客に起因する大幅上昇により商業地が突出して上昇しているのに対し、住宅地、工業地は低調で推移しており、特に住宅地についてはマイナスとなっている点に留意が必要です。

 

大阪圏についても全国平均のグラフとは大きく傾向が異なることが見て取れます。

また東京圏と大阪圏の地価水準を比較する際には、グラフ主縦軸の上限値が大きく異なることに留意が必要です。

東京圏の主縦軸の上限は1,600,000円/㎡で、大阪圏の700,000円/㎡の倍以上となっているので、商業地としては同じ傾向ですが、単価が全く異なります。

 

なお、大阪圏とは「近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域」で、下記のピンク部分で示され、概ね大阪府とその周辺市を含む範囲と考えて差し支えありません。

 

 

 

 

名古屋圏の用途ごとの地価推移

 

東京圏の地価動向を住宅地、商業地、工業地の用途ごとに平均価格の推移を見てみます!

 

 

名古屋圏でもリーマンショック以降、地価が大きく上昇していますが、直近合意時点からの地価変動を正しく認識するには平成22年の価格を100=基準として、指数で比較検討します。

 

上記のグラフを指数化したものが下のグラフです。

 

 

 

  •  平成22年住宅地の価格水準を100とすると平成30年は105です。
  •  平成22年商業地の価格水準を100とすると平成30年は136です。
  •  平成22年工業地の価格水準を100とすると平成30年は119です。

 

 

上記から名古屋圏は住宅地、商業地、工業地の全用途で賃料値上げがしやすい地域といえます。

 

特に商業地はリニア開通に対する期待感もあり、三大都市圏で最も商業地指数が上昇しました。

 

また他の大都市圏を比較する際には、グラフ主縦軸の上限値が大きく異なることに留意が必要です。

東京圏の主縦軸の上限は1,600,000円/㎡で、大阪圏の700,000円/㎡の倍以上となっているので、商業地としては同じ傾向ですが、単価が全く異なります。

 

なお、名古屋圏とは「中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域」で、下記の黄色部分で示され、概ね名古屋市とその周辺市を含む範囲と考えて差し支えありません。

 

 

 

三大都市圏の地価トレンド

 

このように、三大都市圏で比較しても、その地価水準及びその変動について傾向が大きく異なります。

従って、三大都市圏レベルの分析については「概ねそのような傾向があるなぁ」という程度で良いのです。

やはり、賃料の増額、減額を実践するには精緻な分析が不可欠なのです。

 

また、地価の変動はあくまで賃料の構成要素の1つであって、考慮すべき他の要因や事情も沢山あるのです。

では、考慮すべき諸要因としてはどの様なものがあるのでしょうか?

 

 

地価変動以外の諸要因とは?

 

しかし、地価の上昇は賃料値上げの一つの根拠となりますが、近年の判例等から、地価変動以外にも重要視される要因があります。

 

そして、継続中の賃料を改定する場合には、まず大前提として「現在の賃料」を前提とすることです。

一度、両者で合意した現在の賃料は改定に際しても非常に重要視されるのです。

そして合意した時点「直近合意時点」以降の下記の要因について調査分析する必要があります!

 

 

  1.  1  公租公課の変動
  2.  2  土地及び建物価格の変動
  3.  3  周辺辺地域の賃料、代替競争不動産の賃料の変動

 

 

に加え、さらに

 

 

 

  •  賃貸借等の契約の経緯
  •  賃料改定の経緯
  •  契約内容
  •  契約当事者間の公平

 

を総合的に勘案するのです!

 

このように、土地価格の変動は賃料改定を考えるうえで1つの要素に過ぎません。

しかしながら、土地価格と賃料が同じトレンドで推移する流れが説明としては自然ですし、ゆくゆくは任意の値上げ交渉、調停、訴訟を見据えた場合、地価の変動トレンドは重要な指標となるのです。

 

特に、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯、契約内容、契約当事者間の公平を具体的に相手方に示せるかが、調停、裁判において非常に重要となるので、この部分については今度掘り下げて記事を書きます!

 

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