地積規模の大きな宅地の評価-実務上の留意点-500㎡で適用可能な地域とは?

第1 三大都市圏に該当する都市(平成28年4月1日)とは?

 

「地積規模の大きな宅地の評価」が形式基準を色濃く採用し、税理士先生が判断に困る場面は少なくなったと前回の記事で書かせて頂きましたが、従前の広大地規定ほどではないにせよ、財産評価基本通達20-2では、なかなか税理士先生に馴染みのない専門用語も使われており、本当の意味で理解を深めるには少し内容を掘り下げる必要があります。

 

三大都市圏に該当する都市も国税庁がちゃんと明示しておりますが、実際に発生した相続案件についてこれらを当てはめてみたいと思います。

 

フローチャートに従って地積規模の大きな宅地か否かを判断する際に、まず引っかかってくるのが、この「三大都市圏に該当する都市」ではないでしょうか?

 

特に市域の一部についてのみ500㎡が認められる市もあるため、整理が必要です。

 

なぜ市域の一部についてのみ500㎡適用が可能なのでしょうか?

それは・・・・

 

①首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯

②近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域

③中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

 

が制定された年代と市町村合併が大きく関係しています。

ここを紐解くと、地積規模の大きな宅地について理解が大きく進むことになります!

 

 

首都圏整備法の既成市街地又は近郊整備地帯とはいつ時点の市町村?

 そもそも首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯で指定された市町村名は・・・

 

 

昭和四十七年九月一日における行政区画その他の区域によつて表示されたもの

 

なのです。ご承知のとおり2005年の「平成の大合併」により市町村名と行政区域は大きく変貌しました。

しかし法律上は昭和47年当時の市町村名の記載となっているのです。

 

 

首都圏(地積規模の大きな宅地の評価)

 

近畿圏整備法の既成都市区域又は近郊整備区域とはいつの時点の市町村?

 

そもそも近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域で指定された市町村名は・・・

 

 

京都市及び神戸市については昭和四十四年四月十一日

その他の市については昭和四十年五月十五日における行政区画その他の区域又は道路、河川若しくは鉄道によつて表示されたもの

 

 

なのです。ご承知のとおり2005年の「平成の大合併」により市町村名と行政区域は大きく変貌しまいますが、法律上は昭和45~46年当時の市町村名の記載となっているのです。

 

近畿圏(地積規模の大きな宅地の評価)-2

 

中部圏開発整備法に規定する都市整備区域とはいつ時点の市町村?

 そもそも中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域とは・・・・・・・

 

 

昭和43年11月14日総理府告示第43号をもって告示された区域

 

 

なのです。当然当時から市町村名と行政区域は大きく変貌しました。

しかし法律上は昭和43年当時の市町村名の記載となっているのです。

 

 

中部圏(地積規模の大きな宅地の評価)-3

 

 

市域の一部についてのみ500㎡が認められる都市と市町村合併

 

従って、これらの法律の成り立ちと「地積規模の大きな宅地」で明示された都市、特に市域の一部についてのみ500㎡が認められる都市については市町村合併を意識した調査を行えば、都市のうちどの部分が500㎡で地積規模の大きな宅地となるのかがわかるのです!

そこで、これを具体的に可視化していきたいと思います。

 

 

市域の一部についてのみ500㎡が認められる市は?

 

埼玉県-熊谷市、飯能市

千葉県-木更津市、成田市、市原市、君津市、富津市、袖ケ浦市

神奈川県-相模原市

茨木県-常総市

京都府-京都市、宇治市、城陽市、長岡京市、南丹市、大山崎町

 

大阪府-岸和田市、池田市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市

泉佐野市、河内長野市、大東市、和泉市、箕面市、柏原市、

羽曳野市、東大阪市、泉南市、四条畷市、交野市、阪南市、島本     町、豊能町、能勢町、熊取町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村

 

兵庫県-神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町

 

奈良県-奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝市、葛城市、宇陀市、平群町、三郷町、斑鳩町、高取町、明日香村、吉野町、下市町

愛知県-岡崎市、豊田市

三重県-いなべ市

 

地積規模の大きな宅地の評価:フローチャート

 

フローチャート 三大都市圏に該当する都市

 

第2 そもそも三大都市圏とは?

 

地積規模の大きな宅地を評価する場合の三大都市圏とは、次の地域をいいます。

 

 

①首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地又は同条第4項に規定する近郊整備地帯

 

②近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域又は同条第4項に規定する近郊整備区域

 

③中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域

 

 

これら既成市街地、近郊整備地帯、既成都市区域、近郊整備区域、都市整備区域に規定された市町村の市街化区域に広大地が所在する場合、500㎡以上で地積規模の大きな宅地の要件を満たすことになります。

 

 

第3 首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯とは?

 

東京都

 

全 域

 

特別区、武蔵野市、八王子市、立川市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、

小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、

東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、瑞穂町、日の出町

 

埼玉県

 

全 域

さいたま市、川越市、川口市、行田市、所沢市、加須市、東松山市、春日部市、狭山市、羽生市、

鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、

桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ケ島市、

日高市、吉川市、ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、

川島町、吉見町、鳩山町、宮代町、杉戸町、松伏町

 

一 部

熊谷市、飯能市

 

千葉県

 

全 域

千葉市、市川市、船橋市、松戸市、野田市、佐倉市、習志野市、柏市、流山市、八千代市、

我孫子市、鎌ケ谷市、浦安市、四街道市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、栄町

 

一 部

木更津市、成田市、市原市、君津市、富津市、袖ケ浦市

 

神奈川県

 

全 域

横浜市、川崎市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ケ崎市、逗子市、三浦市、
秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市、葉山町、寒川町、
大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、開成町、愛川町

 

一 部

相模原市

 

茨木県

 

全 域

龍ケ崎市、取手市、牛久市、守谷市、坂東市、つくばみらい市、五霞町、境町、利根町

 

一 部

常総市

 

 

第4 近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域とは?

 

京都府

 

全 域

亀岡市、向日市、八幡市、京田辺市、木津川市、久御山町、井手町、精華町

 

一 部

京都市、宇治市、城陽市、長岡京市、南丹市、大山崎町

 

大阪府

 

全 域

大阪市、堺市、豊中市、吹田市、泉大津市、守口市、富田林市、寝屋川市、松原市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、大阪狭山市、忠岡町、田尻町

 

一 部

岸和田市、池田市、高槻市、貝塚市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、河内長野市、大東市、

和泉市、箕面市、柏原市、羽曳野市、東大阪市、泉南市、四条畷市、交野市、阪南市、島本町、

豊能町、能勢町、熊取町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村

 

兵庫県

 

全 域

尼崎市、伊丹市

 

一 部

神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町

 

奈良県

 

全 域

大和高田市、安堵町、川西町、三宅町、田原本町、上牧町、王寺町、広陵町、河合町、大淀町

 

一 部

奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市、御所市、生駒市、香芝市、葛城市、
宇陀市、平群町、三郷町、斑鳩町、高取町、明日香村、吉野町、下市町

 

 

 

第5 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域とは?

 

愛知県

 

全 域

名古屋市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、津島市、碧南市、刈谷市、安城市、西尾市、

犬山市、常滑市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、

高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、みよし市、あま市、

長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、阿久比町、東浦町、南知多町、

美浜町、武豊町、幸田町、飛島村

 

一 部

岡崎市、豊田市

 

三重県

 

全 域

四日市市、桑名市、木曽岬町、東員町、朝日町、川越町

 

一 部

いなべ市

 

 

第6 地積規模の大きな宅地-500㎡で適用可能な地域(一部ってどこ?)

 

前記のとおり財産評価基本通達20-2「地積規模の大きな宅地の評価」は形式基準であることから、広大地のように開発許可基準面積や条例による面積の引き下げなど実態を調査する必要がないのである程度画一的判断が可能です。

 

しかしながら・・・・

 

上記のとおり市全域ではなく市域の一部について500㎡から適用可能な都市があります。

例えば・・・

首都圏の埼玉県の熊谷市、飯能市などです!

 

地元であれば調査も容易でしょうが、全国的に相続案件を手掛けていらっしゃる先生にとっては煩わしい調査です。

そこで、市全域ではなく市域の一部について500㎡から適用可能な都市について、その範囲を可視化してみます。なお国税庁の資料ですと下記の赤い都市になります。

 

500㎡で適用可能(一部)

 

7 首都圏整備法と首都圏整備法施行令の抜粋

 

次に首都圏における地積規模の大きな宅地に関連する首都圏整備法と首都圏整備法施行令について見ていきましょう!

 

首都圏整備法施行令とは?

 

(東京都の区域の周辺の地域)

第一条  首都圏整備法 (以下「法」という。)第二条第一項 の政令で定めるその周辺の地域は、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県及び山梨県の区域とする。

 

(既成市街地の区域)

第二条  法第二条第三項 の政令で定める市街地の区域は、東京都の特別区の存する区域及び武蔵野市の区域並びに三鷹市、横浜市、川崎市及び川口市の区域のうち別表に掲げる区域を除く区域とする。

 

 

第8 近畿圏整備法と近畿圏整備法施行令の抜粋

 

最後に近畿圏における地積規模の大きな宅地に関連する近畿圏整備法と近畿圏整備法施行令について見ていきましょう!

 

 

近畿圏整備法とは?

 

第一章 総則

 

(目的)

第一条  この法律は、近畿圏の整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、首都圏と並ぶわが国の経済、文化等の中心としてふさわしい近畿圏の建設とその秩序ある発展を図ることを目的とする。

 

 

(定義)

第二条  この法律で「近畿圏」とは、福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県の区域(政令で定める区域を除く。)を一体とした広域をいう。

 

 

(省略)

 

3  この法律で「既成都市区域」とは、大阪市、神戸市及び京都市の区域並びにこれらと連接する都市の区域のうち、産業及び人口の過度の集中を防止し、かつ、都市の機能の維持及び増進を図る必要がある市街地の区域で、政令で定めるものをいう。

 

4  この法律で「近郊整備区域」とは、既成都市区域の近郊で、第十一条第一項の規定により指定された区域をいう。

 

 

(省略)

 

 

(近郊整備区域の指定)

第十一条  国土交通大臣は、既成都市区域の近郊で、当該既成都市区域の市街地の無秩序な拡大を防止するため、計画的に市街地として整備する必要がある区域を近郊整備区域として指定することができる。

 

 

(省略)

 

 

近畿圏整備法施行令とは?

 

(既成都市区域)

第一条  近畿圏整備法 (以下「法」という。)第二条第三項 の政令で定める市街地の区域は、大阪市の区域及び別表に掲げる区域とする。

 

 

第9 中部圏開発整備法と都市整備区域

 

全国で相続案件を手掛けるには中部圏のみならず、首都圏、近畿圏の開発整備法にも精通する必要があります。

本稿では中部圏における地積規模の大きな宅地の面積基準に関連する中部圏開発整備法などについて見ていきましょう!

 

 

中部圏開発整備法とは?

 

中部地方(山梨県および新潟県を除く。なお山梨県は首都圏整備法、新潟県は旧東北開発促進法)における開発・整備を目的とする日本の法律。東海地方と北陸地方との交流を促進するとともに、首都圏と近畿圏の中間に位置する地域としてその機能を高める事を目的に策定され、その対象地域は富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県となります。

 

 

中部圏開発整備計画とは?

 

「中部圏開発整備法」に基づき中部圏の開発及び整備に関する総合的かつ基本的な方針、根幹的施設の整備等に関する事項などについて定めるもので、国土審議会及び関係県の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して国土交通大臣が決定します。なお、中部圏開発整備法の一部改正(平成17年7月)によって「中部圏基本開発整備計画」から「中部圏開発整備計画」に名称変更されています。

 

 

都市整備区域及び都市開発区域建設計画とは?

 

都市整備区域及び都市開発区域建設計画は、都市整備区域及び都市開発区域の計画的な開発と整備を進めるため、「中部圏の都市整備区域、都市開発区域及び保全区域の整備等に関する法律」(昭和42年7月)に基づいて、開発整備の基本構想、土地利用、施設整備の大綱などを定めます。

知事が、関係市町村長と協議し、中部圏開発整備地方協議会の意見を聴いて作成し、国土交通大臣の同意を得ます。

 

 

地積規模の大きな宅地の評価なら全国対応の愛知不動産鑑定所におまかせ下さい。

豊富な経験と確かな技術で税理士先生を全力でサポートします!

 

お問い合わせはこちら

■ 関連情報 ■
「地積規模の大きな宅地の評価」についてのカテゴリー記事はこちら
株式会社愛知不動産鑑定所のINFOについてはこちら

広大地 東京

 

 

初回の面談は無料です。お電話での予約はこちら お電話でのお問い合わせはこちら052-238-1911 インターネットでのお問い合わせ

ページの先頭に戻る